『愛すべし 人生の道草』  合宿みたいだったな、バンコク。人間交差点だ。

4日

 感じたように感じていい。

思うように思っていい。

行きたいところに行っていい。

 この旅を始める前、3月の終わり、近所の真宗のお寺を訪ねた。

 住職の一言「あんたのしたいようにしなさい」

 この言葉で旅立ちに心が入った。そんなことを思い出した。

 今日はチケットを受け取る日。

ミャンマーの情報も得ておこう。

向こうは情報が少ないらしいから、タイにいるうちにネットや電話で日本にも連絡をしておこう。

 荷物もいらないものを片付ける。

同じ部屋のナカノくんに作務衣のズボンをあげた。ポケットにカンボジアの紙幣も入ってた。

それも一緒にあげた。

 すごく喜んでくれて、すぐに履いてくれた。

ホントにもらっていいんですか?って、そんなカンボジアの赤土まみれの。。。喜んでくれたのがうれしかった。

 15 時、航空券を無事に手にする。

カオサン最後の夜なので、宿の仲間みんなで中華街に行こうってロッキーの提案だったが、雨なのでやめた。

ナカノくん、ロッキー、エビ、リボン、社長、タツヤ、マコト・・・すげー人数になった。

 その夜、宿に入ってきた学生さん2人も巻き込んで、カオサンのライ
ブハウスへ。

 バケツみたいな容器にビールを入れてもらい、この仲間との最後の夜
に乾杯する。

 社長が「前からビール掛けやってみたかったんだよねぇ」と。

 「いいねぇ〜!!よしっ!!今やろう、今!」


 そんなこんなで夜は更けてった。

 愛すべし 人生の道草

 9月5日

 二日酔い…っていうかまだ酔ってる。

シャワーを浴びて朝のカオサンを歩く。

 荷造りをするが荷物が多い。

タツヤくんはこれからインドネシア方向に行くっていうから、あっちのコンセントのアダプターをあげた。

 レックさんのラーメン屋でみんなでごはんを食べた。

なんかゲストハウスのみんなが寄せ書きをしてくれて、エアポートバスの乗り場までこの酔っぱらいを見送ってくれた。

合宿みたいだったな、バンコク人間交差点だ。

 ドンムアン空港でネット。

日本で子供たちはサーカスを観に行ったってさ。夏休みも終わりだな。

日本に電話した。久々に家族の声を聴く。奥さんは相変わらず淡々と喋る。



 6日

今はもう日付が変わって、6日の0時2分。

ミャンマーヤンゴンにいる。

ミャンマーに入るにはフライトしかないから、しゃーないが飛行機の移動は素っ気無いね。実感がない。

国を跨ぐなんて、すげーことなのに、あっさりと行けちゃう。

 ここはトウキョウゲストハウス。日本人経営の安宿。

部屋が満室だったから、食堂の陰に寝かせてもらう。

 スペシャルベッドで1泊3ドル。

ビーマンバングラディシュ航空の機内食は普通に食べられるもんだっ
た。

7年前に乗ったとき、機内食がりんごだった。

 ヤンゴンの空港に着き、なんとなく目が合ったナルミちゃん、アメリ
カ人のJP、韓国人の張さんとタクシーをシェア。

 1ドルで市街まで行く。

普通の国ならバスとかで市街まで行けそうだけど、ここミャンマーにはないみたい。

 とりあえず、宿泊先も移動手段もさっぱり検討がつかないし、予定も
情報もない 「素!」なので、こんな出会いに身を任せるしかない。

 しかもそれが心地いい。

 はじめて来る国、ミャンマー

 ヤンゴンの街の夜、さっき会ったばかりのJPと張さんと歩き、屋台
でヤキメシを食う。


 首都なのに電気がギラギラしてなくてさ、屋台なんてケロシンの明り
でさ、バスには信じられないくらい人が乗ってるしさ、それでいて人は
笑顔で穏やか。

 なんかいい感じのミャンマーだよ。

 やっと動いてきた、旅はこれでないとね♪

バンコクはみんなと一緒で

すっげー楽しかったけど。

人が大好きで、人が苦手。

淋しくなって、また一人になって、また人恋しくなって。

どーしょーもねぇ・・・。旅とかホントにしたいのか、それも分から
ん。

 6日

食堂の隅っこの本棚の裏のスペース。

完全に無風状態で寝れるわけない。

だけど、3ドルだから満足。

ここはみんなが朝食に出てくるところだから、時間になれば起きるし
かない。

プライバシーもへったくれもない。

 JPや張さんが起きてきてケラケラと笑う。

こんなところにホントに寝たのか?と。

 おいおい、あんたらが一般のシングルの部屋に泊まれたのは、誰のお陰だと思ってるのかよ?

 本棚にヴィパッサナ瞑想の本がある。

お粥を食べながら読む。カオサンで出会った坊主あたまの学生さんが言ってたのは、これだな。

 向こうのシングルの部屋には、日本から逃亡してきたMさん。

本物のヤクザ屋さんだということだ。Mさんのおすすめのシャン料理の店で一緒に昼ごはんを食べる。


 話してるとかなりいい人で気が合うようだ。

いつのまにかミャンマー北部の町、バガンに一緒に行こうかって話になる。

親分との旅かぁ、すげえな。

宿に帰って、シャワーを浴びる。

廊下を通り過ぎる時、Mさんの部屋のドアが少し開いていて、中が見えた。すんげー立派な彫り物が背中に。

わお。

 宿のご主人に3日分の宿泊費9ドルを前払いした。

 トウキョウゲストハウス、いいねぇ。

 シュエダゴンパゴダに行き、木陰で昼寝した。

昼間からたくさんの人が集う寺院。

お寺の本来の意味はこういうことなのかもしらんね。


 ミャンマーの時間の流れ。いいねぇ。

 夕飯はナルミちゃんたちと屋台。

ケロシンの明りがキレイ。

 宿に戻り、マネージャーのチョウチョウたちと3時半まで飲む。

 チベットから持ってきたシンギングボールの音はミャンマー人の心を
も魅了した。

ぐわんぐわんになりながら、話す。同じ仏教徒、通じるものがあるのかもしらんな。

旅は続く。