あるもんで、何とかする。残して良かったもの、残せばよかったもの。

山の中に一軒のガソリンスタンドがある。

そこの前を通るときには、車の燃料ゲージの示す残量の多少に関わらず、給油する。

元々は農協の給油所だったらしいが、農協がそれを止めた後に引き継いだと。

だから、午前の部、午後の部の営業時間に分かれていて、従業員もひとり。

設備は元々あったもの。

ペンキの剥げかけたコンクリートの感じがまた良い。

看板は『JASS』

給油機は、かなりアナログ。

従業員のお姉さんは、愛想の良い、会話の弾む人。

ガソリン価格は、市内と変わらない。

引き継いだ経営者からすれば、初期投資が少ない分、価格に転嫁せずにすむ。

山の中であるからこその燃料ユーザーは一定の数、いる。

繰り返すが、ペンキの剥げかけたコンクリートの感じがまた良い。

それっぽい言葉でいうと、

エイジング

とか

ウェザリング

とか言うらしい。




新しくしないで

壊さないで

そのままで

余計なことをしないで


あるもんで、何とかする。


アルモンデ文化



「何かしなければいけない」って無理になんとかするよりも、ちょっと楽でええわ。




古くからあるガソリンスタンドがどんどん閉店してしまい、郊外にセルフ方式の新店舗が出来る。

よく分からない経済循環の仕組み。






壊さずに、あるものを、上手に使って再生させると気持ちいい。

壊さずに再生された”クリエイティブスペース 赤レンガ ”

壊されて無くなって、更地になった”公設市場 ”


ぶっ壊して、掘りあげて、コンクリートで固めると、エイジングまでに40年は掛かる。



残して良かったもの、残せばよかったもの。