山口県知事選

脱原発当り前』
選挙の際にはこう言いながら、当選した後には建設予定地埋立の免許の失効を先延ばしにした山本繁太郎氏が病気辞職した。

それに伴う知事選(23日投開票)で、元衆院議員高邑勉氏(39)=民主党を離党=は29日、無所属での立候補を表明した。高邑氏は中国電力の上関原発計画を大きな争点と位置づけ、「原発をゼロにすることは国民のコンセンサス。新増設は認めない。県内に原発を造ってはならない」と述べたという。
一方、前回の知事選で再生可能エネルギーの促進を訴えて立候補した飯田哲也氏は立候補を見送った。
現在のこのような状況の中でも、東京都知事選挙細川護煕氏の出馬での盛り上がりと全く異なり、熱気のようなものを自分にも周囲にも全く感じない。山口県には上関原発計画が未だに存在し、東京と同様に争点になるはずなのに。保守王国と呼ばれる山口県で、本当に失礼だとは思うが、共産党候補が勝つことはまずない。東京のように保守勢力だった人の中から脱原発を唱える人が出ないかぎり勝ち目はないのだ。
そう思っていた矢先の一報が、高邑勉氏の出馬だった。「凍結」という曖昧でどちらにも取れる主張をした前回2012年の知事選から主張を変えた理由は、飯田哲也氏と一本化に向けて政策を調整する中で、飯田氏の考えに影響を受けたということらしい。

もし東京都知事選に選挙権があったなら、小泉純一郎氏は大嫌いだが、『脱原発』の細川護煕氏に入れる。そこで今回、「原発は新設しない」という高邑氏に一票を投じるかと問われると、どこか胸につかえたものが残る。オスプレイ受け入れから始まり、防衛庁機能の一部を山口県に移転し、国防拠点とするという公約、東日本の震災の瓦礫の積極的受け入れの表明には目眩がする思いだった。若いのに考えが古すぎる。高邑氏が今の脱原発の世論の高まりを感じ、政策を転換させたことは評価できる。政治家的な嗅覚を敏感に持つ方なのだろう。事実、小泉純一郎元首相は都知事選に限らず、脱原発候補の応援に全国の遊説に周る可能性もあると聞く。演劇が趣味という元民主党の高邑氏と小泉劇場と評される元首相との2ショットなど、2年前には想像だにできなかったことだ。
TVや新聞やネットで東京の状況を見聞きするときに、なぜ脱原発候補で一本化できないのかと腹立たしい気持ちだったが、いざ自分の地元山口のこととなると、物事単純にはいかないのだということを思い知らさせる。30年も原発計画に反対してきた人も「高邑はニセモノだ」という。
自民党県連は後継候補として、総務省財政課財政企画官の村岡嗣政氏(41)=15日付で同省を退職=を擁立することを決めた。村岡氏は無所属で立候補し、自民の推薦を受ける。村岡氏は山口県宇部市出身。東大卒で自治省入省。広島市財政課長や高知県財政課長などを歴任した。彼はこう話す「上関原発の埋め立て免許延長の可否判断は『県が中国電力に補足説明を求めており、回答を待って判断する』と述べ、昨年3月時点で判断を1年程度先送りするとした山本氏と歩調を合わせる。回答前の失効は『考えていない』として、失効させる方針を示した二井関成元知事とは一線を画した。上関原発建設計画の是非は『エネルギー政策は国策で、国の責任で位置付けを明確にしてほしい』と。
要するに、何にも変わらないということだ。これが山口県の保守王国と呼ばれる所以であろう。

戦後長きにわたって、すべて官僚出身の知事が続いた山口県は、またしても総務省のキャリア組が知事になる。

高校を卒業して、東大に入って、官僚になって、天下り

中央とのパイプは持っているのだろうが、学校と役所の中にしか人生経験がない人に、本当に県民の感覚が分かるかどうか。



本当の意味での保守、愛郷、国土を守ろうとする候補はいないものか。本当にみんなの意見で選ばれた知事の「上関原発白紙撤回」の朗報を聴きたい。