西郷南洲遺訓」(岩波文庫)から引用。

「租税を薄くして民を裕(ゆたか)にするは、即ち国力を養成する也。

故に国家多端にして財用の足らざるを苦むとも、租税の定例を確守し、上を損じて下を虐たげぬもの也。

能(よ)く古今の事跡を見よ。
道の明かならざる世にして、財用の不足を苦む時は、必ず曲知小慧の俗吏を用ひ巧みに聚斂して一時の欠乏に給するを、
理財に長ぜる良臣となし、手段を以て過酷に民を虐げるゆえ、人民は苦悩に堪え兼ね、聚斂を逃げんと、自然譎詐狡猾に趣き、上下互に欺き、官民敵讐と成り、終に分崩離析に至るにあらずや」(引用終了)