ちょっと年を取ったなぁと、初めて思った。

何にも分からないままに旅に出て、いろんな人にお世話になったから、その恩返しのつもりみたいな感覚で、ヒッチハイカーを拾う。

反対車線だったら引き返して、自分の予定を変更して、ヒッチハイカーを拾うこともある。

飛行機とか新幹線とかを使わないで旅してる彼らから得られる情報も貴重であるのだ。

オーバーグラウンドで流れるものと違う生身の感覚のそれ。

島根県を走る国道9号線のどこかで、ヒッチハイカーを拾った。

久しぶり。

『益田方面』のプラカード。

平成のバックパッカーの生態はどんなものかと興味津々で。

後部座席の荷物をずらして、青年の席を作り、「どこまで?」と尋ねると、「益田の方へ」と。

なんとなく車の中に流れる音楽のボリュームを大きくする。

国道9号線をひたすら津和野方面へ走る。

ヒッチハイクの青年は一言も発することもなく眠りに落ちた。

無礼でもない、慇懃でもない。

「そろそろ益田だよ」と声を掛けてみると、

「山口まで行って、2号線に乗りたいので・・・」という。

ヒッチハイクのような交通手段を用いて旅をする人種にある普遍性みたいなものは幻想だと気がついた。


途中、津和野に寄って源氏巻きを買おうと思っていたので、峠のパーキングでお別れした。


いい旅を!!


ありがとうございます。


淡々として、後腐れもない、一期一会のヒッチハイカーに、すがすがしくもあり、ちょっと腹立たしい思いもした。


ちょっと年を取ったなぁと、初めて思った。



旅人はさぁ、ちゃんと自己紹介して、どこから来て、どこへ向かうくらいの意思の疎通はしようと!!


なぁーんて、思ってしまったわ。


寅さんじゃないから、仁義を切るってわけじゃないけど、縁があって会ったそやからな、なんちゅーかよぉ。。。