さよなら北京、こんちは上海


 明日の夜、ここを出て上海へ向かう。

なんか満足。

宿へ戻り、頼んでいた洗濯物を受け取る。

 服務員が「今日の宿代が未払いだ」と無表情に言う。

 確かに今朝、支払っている。領収をみせろと言われる。

 うきゃ。捨てちゃった。ムカ〜ッ!

 フロントに行って確認するとやっぱり払ってた。

 おばちゃんに払ってた旨を説明する。


 安心して、ドミのベッドで寝っころがってると、おばさんが謝りにき
た。

 ありゃま、中国人、いい感じじゃん。

こちらこそ、ごめんね。

 今、この部屋の空きベッド3つに客が来た。

 モンゴル人家族。おっさん、おばはん2人。

 日本人ギャルじゃないやん!!

 まぁ、でも朝からやる必要ない掃除なんぞして、俺も楽しかったわ。
 会長もアケミもええやっちゃ。

 会長は「3号室からのレボリューションや」って関西弁で言う。

 そんな大袈裟なもんかぁ?って思いつつもめっちゃオモロい。

 
3人で2元ずつ出し合って、世界地図を買い、俺らの3号室の壁に
貼った。

 まだ見ぬどこかの旅人よ、我らのこの地図で世界の夢を見てくれ。

 かなり自己満足の世界やし、そんなことは分かってるけど、俺ら3人
は満足だ。

 誰も文句ねぇな。はい、ありません。


真っ直ぐじゃないスパイラルで世界一周ってのもいいかもな。

■ 10:38


 昨夜、眠る前にアフロのアケミと話をした。気が付けば一週間べった
り、ずっと一緒にいた。二人で大笑いした。

 メシもずっと一緒に食ってる。

3〜4日しか経ってないような気分や。

 そんなことをお互いに思っている。

 旅の第一ステージが終わったな。

北京は楽しかった。
 『上海ベイビー』の本をもらい、万華鏡をみせてあげる。

 笑いのツボが同じでいい。

 夢をみた。

 大切なものがなにかを教えてくれた。

 旅。

 北京の街は訪問される前からずっとそこにあるのに、観察者が意思を
持って訪れ、そこで会う人、見る風景、交わす言葉、味わうもの…「こ
れが北京だ」と感じる。

 どんな目で世界を見つめようかという観察者の自由意志。

 そういうことやわ。

本当は北京はどんな街なのかは分からないが、とにかくこの目から見た北京は楽しいいい街だった。

 今日は雨。

 京華のBARで炒麺を食べ、まったりとした日。

 昼前にチョージがチェックインしてくる、

 就職が決まったとのこと。

ビールで乾杯してお祝いする。

 今、19:28

 上海行きの列車が動き始める。

 5分前に列車に飛び乗る。

 ギリギリだった。チョージとアケミと3人で宿を出て、前門でウイグ
ルメシを食う。

 のんびり食べて外に出る。

 チョージがタクシーを捕まえてくれた。

 走る走る。中国人を押しのけて、走る走る。

 駅の入り口の赤外線チェックも押しのけ押しのけ。

 上海行きのホームを探す。

見つからない。尋ねる。分からない。見つける。走る。

 ホームへ。

 「ありがとう」

 チョージが動き出す窓の外にいる。

 北京、楽しかった。

 上海行き。軟座だ。

 快適♪

さよなら北京、こんちは上海








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10年前の日記を読み直しながら、思い出してたら、早速「アケミ」と呼ばれた男からコメントをもらった。

この上ない喜びだ。

旅に出てすぐに出会って友達になったアケミ、会長、兆次、アツシ、みんな何してるんだろうなぁ?

また、会いたいなぁ。

山口に来てみない?