立つ位置が変ると、同じ音も うるさい と たのしい になるんだ。 現実は、音が鳴っているということだけ。
24 日
宿で目を覚ます。
マジで生きてることに感謝した。
ラサからゴルムドを抜け、一気に西寧、蘭州へ。
本州くらいかな。
２１００ｋｍの一気で寝台バス移動。
死ぬかと思った。
もうヤダ。
蘭州名物、蘭州牛肉麺を食べる。
生きている。
25 日
6 時半に目覚める。
広州に向かう列車の中、『星影のワルツ』が流れる。
カップ麺を車内備え付けの給湯器で作って食べる。
西安も洛陽も過ぎた。
これからの行程について、考えてみた。
・・・がやめた。
「人生とは予め計画したり、期待したりしたこと以外に起こるものご
と」
計画しても、どうせその通りにいくわけないもん。
人生楽ありゃ苦もあるさ。くじけりゃ誰かが先にゆく。
すごい歌だなぁ。
どうぞお先に行ってください。
後から行きますので。
26 日
9 時40 分 広州駅に着く。
中国を西へ東へ、北へ南へ、バンバン移動している。
無駄な動きといえば、かなり無駄。
地下鉄に乗り、ユースホステルに行くが満室。
客引きに連れられて、新華大酒店という宿へ。
大陸を一気に南下した。
熱気が襲う。
山も緑。
北の方の町や自然とは、全く違う。
物価も全然違う。
同じ国の中のことだとは思えない。
待ち行く人もおしゃれ。
ベトナム領事館を探す。
500 元払って、査証の申請をする。
５月２７日
９時２５分 宿の外に出る。
熱気がやってくる。 広州は暑い。
土産物屋をひやかすつもりが、とてもきれいなお姉さんだったので、
数珠を買ってしまった。
まだ広州にいる。
馴染みになった安飯屋で５元の昼食を食べ、上九路、解放路、中山路
と歩く。
地下鉄で宿に帰り、コンビニでビールを買って宿に戻る。
何かを探して、旅をしているのか？
何かを求めているのか？
よくそんなことを聞かれる。
分かりません。
創造は「遊び」から生まれます。
何かを創造しようと目的をもつのではなく、いつでも遊ぶこと。
自然の流れに従い、目的や使命感にとらわれず、気ままに遊ぶ。
そんな感じか？
ビールを飲まずに眠る。
３０日
１２時に起きる。
よく眠った。いろんな夢をみた。
また５元の食事をする。
今日は大雨。洗濯をすることにしよう。
一か月分の汚れを落とす。
北京で出会ったアフロのアケミが広州に来るとのメールが入る。
会えるだろうか？
この辺りも歩き尽くして、宿の周りに立っている娼婦のおばちゃんた
ちも笑顔で挨拶してくれる。
I LOVE YOU !
３１日
朝からまた洗濯。Ｔシャツと靴下を洗う。
邪悪なほどに汚れていた。
昼前に宿を出て、５元の食事。ネットカフェに寄る。
ネットを終えて、外に出る。
外は雨。
雨宿りし、ビールを飲みながら歩く。
何気なく人民南路を歩き、何気なく映画館の前に立ち尽くす。
すると目の前に見たことのある人影。
「アケミーーー！！」
元左翼運動家、通称アケミ（男）がそこにたっていた。
すごい再会だった。
ドイツ人のマティアスとユーイチくんとも知り合いになり、一緒に歩
く。
アケミもアフロヘアが長くなりすぎでマッチ棒のようだし、そういう
自分も襟足が長すぎ。
中国広州の散髪店に勇気を振り絞って入る。
宿に４人で来て、これまでの行程を話す。
何もしなくても、自然に任せていれば、会える人には会う。
何かをしようなんて、考えても考えなくても。
６月１日 （中国 広州）
夜が明け、シャワーを浴びて広州ユースに向う。
北京で出会ったアケミちゃん、仙台のユーイチ、ドイツ人のマティア
スと街を歩き回る。
移動を開始するユーイチを駅まで見送り、また街を歩く。
明日はベトナム大使館に行って、ヴィザを取ろう。
今日はよく歩いた。
蒸し暑い広州の街。
流花公園でのこと。
池にラジコンのボートが浮かんでいて、岸辺から
それを操作するアトラクションが設置されている。
中国人親子が１０組も並んでいて、彼らがそれを操作するたびにコン
トローラーから電子音が大音声で鳴り響く。
たくさんの音が重なる。
「なんでこんなにうるさいの？公園の中で・・・」
マティアスがうんざりして言う。
中国人の親子の団欒の中では、きっと「楽しい音」なんだねぇ。
立つ位置が変ると、同じ音も うるさい と たのしい になるんだ。
現実は、音が鳴っているということだけ。
にぎやかな広州。
ここでは、ベトナム査証を得るのだ。
