カンボジア シェムリアップから泥酔したままバリ島へフライト 


 7 月25 日

 朝、起きてシャワーを浴びる。言うまでもなく水のシャワー。

 明日に備えて、バックパックの中の荷物を整理する。

 背負う荷物はこれ一つ。

 今、持っているものを見つめてみる。

 いろんなものを持ってる。

 いらんもんをいっぱい詰め込んでるなぁ〜!!あははははは。

 昨日買ったハンモックは意外にも中に入った。

 問題は太鼓だなぁ。

 自分を客観的に観るって一体どういうことだろう?

 突き詰めて観ようとしてる、観ようとしてるって自分がそこにいるん
だなぁ。

 観ようとしてるときには、観ようとしてる人がいた。

 そんだけだった、つまらん。

 アンコールワットの入場パスには写真の添付が必要で、日本で撮って
おいた証明写真を貼った。

 日本を出て3ヶ月。我ながら顔つきが変わっちまったなぁって思う。

 チャンナ=おいしい

 プノン=山

 スタン=川

 サバイ=幸せ

 バイクタクシーのトレンとアンコールワット周辺の遺跡を周る。

 バイクの後ろに跨り、話しながらカンボジアの言葉を習う。

 その後、「うちに来ない?」と誘われる。

 もちろん「行く!」

 トレンと彼の友達9人と大宴会。

 カンボジアワイン、ビールでドカーン。

言葉は通じないが、そんなん関係ない。

 お金の話、エロ話、将来の夢…カタコトの英語で。

 男ばっかりが集まって話すことなんて、どこの国も同じ。

 「英語をもっと喋れるようになって、アンコールワットのグレートなツアーガイドになるぜ!」とトレンは言う。

 「おりゃ〜もっともっと旅を続けるぜ!」

 ベロンベロンになりながらも、トレンは宿に送ってくれた。

 隣の宿のマコトくんとリュウイチくんが部屋のドアにメモを挟んでく
れていた。

 「明日、出発するんですね。帰ったら連絡ください。」

 お別れを言わなきゃ。

 そう思って、隣のホテルに歩を進めた。

 そして記憶がなくなった。

 26 日

 マコトくんとリュウイチくんが揺すって起こしてくれた。

 目が覚めると自分の部屋ではない。

 マコトくんの部屋みたいだ。

 ここ、どこ? 本当に記憶がない。

 半覚醒で事の次第が全く把握できない状況の中、みんなに急がされて
荷物を背負う。

 「速く、速く!急がないと!」

 「???」

 今、6 時25 分。

 みんな、ありがとう。

とりあえず今、シェムリアップの空港にいる。

 荷物のチェックも終わった。

トレンも迎えに来てくれてて、訳の分からんうちにバイクに乗せられて空港に着いた。

なんてみんないい人なんだろう。

 宿代とバイクタクシー代、それにポケットに残ってたカンボジア貨幣
 リエルを全部トレンにあげた。

 世話になったなぁ。

めっちゃオモロかったわ、シェムリアップ

 空港までの途中、バックパックに差し込んでたスプーンが落ちた。

 落ちる可能性のあるもんは、落ちるんやぁ…ってバイクの後ろから観
た。

 カンボジアワイン、恐るべし。

 我が記憶を完全に奪い去りし。

 一体、この人は何をしてるのか?

こんなもんでええのか?

 空港のチェックインカウンターでずっと太鼓を叩いてるよ。

 シェムリの空港から、タイのバンコクドンムアン空港へ。

久々のフライト。

間に合った。

 バンコクエアラインのアテンダントはとてもきれいな人だった。

 ドンムアン空港のトイレに駆け込み、胃の中のものを出す。

完全にカンボジア酔い。

 トランジットの手続きを済ませて、GATE36へ。

 今度はシンガポールチャンギ空港へ飛ぶ。

 ここの空港の待合室のPCは無料。

 今日1日で、3回のフライト。

 バリ島を目指す。

 21時、インドネシアバリ島に到着。

 「ドラッグは死刑」 との掲示がある。

 イミグレーション、カスタムの職員の人たちがバックパックに括った
太鼓を叩いてくる。

 笑顔でつながる道具だ。

 22時、バリの安宿街、ガンポピーズの宿にチェックイン。

 ZZZ・・・。

 堕ちるように眠る。

何か国目だろうか?

インドネシアバリ島へ着く。