そろそろ動こうぜ、俺。 そんな焦りに似た声も聞こえ始める今日この頃。 アユタヤ

 

9月1日

 予想通り、予定通りの極限の二日酔い。

シャワーを浴びて、カオサン通りを歩く。

15B(約45円)のパッタイを食べて、宿に戻る。

 ドミトリーの2段ベッドの上に寝っ転がって本を読む。

リング2』コワイ。

 なんにもする気にならないので、なんにもしない。

タツヤくんとロッキーはマンガ喫茶に行ったみたいだ。

 バンコクにもマンガ喫茶ができるとは・・・日本文化おそるべし。

 夜は、京都から来た旅人とタイスキの屋台に出掛ける。

 京都の人は、ステキな人であった。

 タクシーの窓から見える夜景が流れるように見えた。

 ベッドの上で音楽を聴きながら眠る。

何度も聴いたことのある曲なのに、なんだか響いて聴こえた。

 いったいどこにいるんだろう?なんでここにいるんだ?

 2日

 7時過ぎに宿を出て、インド大使館に着いたら9時。

ここバンコクの交通事情はよくわからんわ。

4番の札をもらってただ待つ。

さんざん待って窓口にたどり着く。

 パスポートを渡す。

 「次は午後4時においで」

 信じられん。

さすがはインド大使館だ。

3回も足を運ばないとビザをもらえないなんて!ゆっくりとした時間の流れ。

 まぁ、こっちもヒマなのでいい。

 カオサンの宿に戻る。

社長とレックさんのラーメン屋さんに行く。

 ランドリーサービスに洗濯物を持ってく。

これまでの旅で最高に清潔な日々。

 2番のバスに乗って、またインド大使館に行く。ベトナムのフエで出
会ったキミエちゃんとポールにまた出会う。

 「インドでまた会おうぜ!」そんな言葉を交わす。

 みんなで屋台で夕食。

その後、GOGOバーに10人で行く。

みんな若いなぁ。1杯飲んで帰る。

 タツヤくんと2人でカオサンのライブハウスで2曲聴き、お粥を食べ
る。

 宿のバルコニーで眠る。

 自分に寄り添う。他人のことを考える。インドビザも取れた。


 そろそろ動こうぜ、俺。動き出すまで、放っておくけどね。

自分のことも他人事。

 こんな名前で、こんな旅人で、こんな日本人で、こんな年で・・・。

 そんな肩書きの前に ただの人だ。

使命感や目的や認識なんてまっぴら御免。

 そろそろ動こうぜ、俺。

そんな焦りに似た声も聞こえ始める今日この頃。

5年前にカオサンに来たときに、ストリートで本を売っていためっちゃカワイイ女の子、5年後にも同じところで旅行者相手に本を売っていた。

相変わらず美形だった。

笑顔が素敵だなぁ、本は買わないけど。

 3日

 7時に起きて、シャワーを浴びる。

タツヤくんたちはカンチャナブリに行くらしい。

こちらは、社長、ロッキー、マコトくんとアユタヤへ行く。

 ホァランポーン鉄道駅まで行き、そこから2時間列車に揺られる。

シャム王朝の都、アユタヤ。

かつて日本人町があり、山田長政が活躍した場所。

 小さな駅に降り立つと、バイクレンタルがあり、そこで2時間契約で
2台のスーパーカブを借りる。

免許を見せないと貸せないと云われたが、パスポートのコピーを見せて、「コレは日本で発行された国際免許です」

というとあっさり貸してくれた。

 正確には我ら日本が世界に誇る、ホンダスーパーカブのニセモノ。2
組に別れて2人乗り。

 さー、遺跡巡りだ!!


走り始めて5分でロッキーたちとはぐれる。

どうやらロッキーはバイクに乗ったことも運転したこともないらしい。

 こりゃ大変!と3分くらい彼らを探してみたが、見つからないので諦
めて、社長と2人でさっさと観光に出掛ける。

とりあえず、イチバンデカイ遺跡、ワットヤイチャイモンコンを見る。

 そこに立ち。社長と顔を合わせる。

 二人でほとんど同時につぶやく。「帰ろうか?」

 そもそも観光なんて無理。きょーみないもんね。



近くの屋台でヤキメシとシンハビールで乾杯。

 乾燥して、砂埃の道を無免許、飲酒、二人乗りで走る。

 夕方には宿に戻る。

 新しく入ってきた、タオ島からの帰還組と飯を食い、大通りのライブ
ハウスでオアシスのコピーに聴きいる。

 いい一日やったわ。

旅は続く。