生きている年寄りは面白い。




90歳のN氏のエッセイ


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『世界は一つ』

テレビを見ていて思うこと

ニュースにしても、天気予報にしても、世界全体の出来事がその日のうちに見ることが出来る時代となった。

こんな世の中になっても、未だにあちらこちらの国で争いが起きている。

今日は、澤村さんと温泉に入って四方山話のひとコマ。


彼は世界中に知り人のある人。


先日、コロンビアから来た人の話で、日本はどうして民族間の争いがないのかと言っていたと。

むしろ、争いのないのが不思議なくらい、世界中で争いが起きている。

そして、そのほとんどが宗教が絡んだ争いか人種差別が原因になっているようだが、

それこそ、日本人の生き方を世界に広められないものだろうか。

意見の相違という考え方の違いで、何故、暴力を使わなければならないのだろう。

食糧にしても生活物資にしても、あり余る程あふれている今の世でも、人間の拘りが原因で殆どの争いが起きている。

日本人には、人と争うほどの宗教の拘りもなく、人種差別もない。

何事も程ほどというか、中庸の生き方をしているのが、日本人だと思う。

言い換えれば、いい加減に生きているとも言える日本人。


これこそ、平和のもとかも知れない。



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引用、終わり。





戦前に生まれ、戦時中の空気を肌で知り、戦後の騒乱を生き、生活様式の大変革を体験してきた90歳の元生命保険営業所長。


世界を放浪し、路上の目線から言葉を紡ぐ詩を読み、反体制を貫き続ける73歳現役ビートニク。


水と油。


N極とS極。


全く正反対の老人の関わり。


その会話が、またその後に書かれる文章がじつに活き活きとしていて、劇画のようだ。


やれ心臓のバイパスが、やれ脊椎間狭窄がとかという病気自慢の老人クラブの会話とは違う。


施設に入れられて、魂を抜かれ、メシを食ってクソをするだけの年寄りの愚痴とも違う。


あぁ、面白い、生きている年寄り!!

先日は、彼らがナンパするのを目撃した。

相手は女性ではない。

79歳の元公務員。

露天風呂で声を掛け、意気投合。

風呂上りのコーヒーを飲みながらの丁々発止。

会話は、日露戦争から昭和、平成、天下国家に及ぶ。

全く利害関係のない、10円にもならない、その場限りのどうでもいい話。

放っておけば、どこまで膨らむか、この与太話。


放し飼いの年寄り。

7年間、老人介護施設に勤務して、「介護」していたが、こんなに面白いことはなかった。

年寄りを「安全安心」に管理して、痴呆に向けて一直線。

薬漬けにして、除菌。

家族は増加する一方の介護医療の費用に怯え、職員は重度化する痴呆と安い賃金にため息。




あははは、いつも答えは後ろにある。


結局、僕はこんな年寄りになりたいと思った。


風呂上りのアイスコーヒーは、お言葉に甘えて奢ってもらいました。