日本を出るときには全く想像もしていなかったところに来てしまった感は否めない。成都>チベット ラサ

5月7日

 7時に目覚め、シャワーを浴びる。

歯を磨こうと思ったら、歯ブラシがない。

全くどんどん忘れっぽくなってゆく。

執着してもしゃーないし、

戻ってもこないのでヘアブラシも捨てた。

 外へ出て、お粥と包子で1.8 元。

歯ブラシ2.5 元。

 日本に手紙を書く。

1階で日本人数人に会う。

この宿にはチベットに向かう人が多いようだ。

 昼過ぎ、部屋に戻る。

オランダ人も帰ってきて、寝転んでいる。


 拙い英語で会話をする。

彼はかなり精神世界に詳しい人で、南無妙法蓮華経などという。

 SGK(創価学会)のことも知っていて、びっくり。

欧州でもかなり影響は強いとのこと。

 「日蓮大上人が…」との話にはついていけなくなった。

 同じ宿の日本人、アキさん、チハルちゃん、つよしくんと晩飯。

晩飯の後、「100元で飲み放題」という客引きに釣られて高層ビルの中の飲み屋に行く。

途中、中国人の若い女の子がたくさん入ってきて、果物が大量に出てくる頃から、様子が変になってきた。

案の定、会計を頼むと一人当たり1000元だと。

出ました、やっぱり。

日本人5人もいるからまぁ大丈夫だとタカを括った。

100元だけ払って、ハイサヨナラと思って店を出ようとするが、案外に出口を通してくれた。

あ、何のことはなかったなと思ったら、その階のエレベーターに細工がしてあって、動かなくしてあった。

また店に逆戻り。

ああでもないこうでもないの押し問答。

何とかして下界に救援を求めようという作戦になり、アキさんが店の者の間隙を縫って非常口から逃げた。

チェーンで巻かれた非常扉を何とか開き、アキさんは地上27階の階段を降りていった。

「すぐ帰ってくるからな、待ってろよ!」

何か活劇のヒーローか何かと間違いそう。

残された我々は店員が呼んだ屈強な方々に囲まれて、「中国語、ワカリマセン」を連発して瞑想。

何の修行なんだこれは。

長い時が経ったようにも思えるが、そうでもないのかもしれない。

アキさんが誇らしげな表情で店の正面から帰ってきた。

後ろには若い警察官を連れていた。

やった!味方じゃん。

若い警官は中国人店員に何かしらのことを言っていたので、これはもう開放されるわーと思っていた。

店のオーナーかマネージャーのような者がおもむろに電話をかけ始めた。

数分後、現れたのは太った悪そうな警察官。

げ、なんか形勢が変わりそう。

太った警官が一言二言何かを若い警官に告げると、若い警官はすぐに帰って行ってしまった。

おいおい、これはどういうことだ??!

太った警官は店の要求通りに払えという。

あ、向こう側の警官だ。

それでも払わないと言っていると、連行するという。

あぁ、それでここから出られるのなら連行してもらおうってことで公安に連行された。

あぁ、異国でパトカーに乗るのかぁ。

警察署でも延々と店側との交渉。

結局、一人300元で折り合う。


 12時すぎて解放され、部屋でみんなで飲みなおす。

 今回ばかりは、かなり厳しかったなぁ。

 これぞ中国公安。


ワルモノと癒着しちゃって…というところをみせて
もらった。

 かなりボラれてしまったが、良い経験をさせてもらった。


5月8日


 まさかビルの27階に軟禁されて、公安に連連行されるとは思わな
かったが、思い返してみるといい経験になった(うそ)


 アキさん、チハルちゃん、つよしくんと四川省パンダ繁殖基地に行っ
た。
 意外にもパンダの数が少ないので、持参した万華鏡でパンダを増やし
て観たりした。


 同じ宿にこのままいても、昨夜の中国人たちが怖いので、ユースホス
テルに宿移りした。


 昨夜はいつドアがぶち壊されるかドキドキだった。

 4人で昼ご飯。

 その後、YHの屋上でぼけーっと夢をみる。

 パンダの歌なんぞを作って、みんなで歌ったりする。

 パンダ♪パンダ〜♪



 5月9日

 ラサ行きのチケットを買う。

 万華鏡で世界を覗いて一日を過ごす。

 いつも見ている世界が現実なのか、この世界が現実なのか?

 果たして現実などというものがあるのか?


 近所でATMを探して、現金を得ようとするがなかなか使えるものが
なく、困る。

 とりあえずこれは「現実」のようだ(苦笑)

 5月9日

 5時起き。ラサ行きの飛行機に乗る。

ホテルのデポジット 50元しか戻らず。

 急ぐためにゴネずにチェックアウトする。

 すんげーところを飛んで、10時すぎにラサに着く。とうとう来
ちゃったチベット

日本を出るときには全く想像もしていなかったところに来てしまった感は否めない。

何にも知らないところまで来ちゃった。

 35元でバスに乗り、市内に。

 途中すごく眠くなる。

オランダ人からのアドバイスで「バスで寝たら一発で高山病」と聞いていたので、必死で起きてた。

 バスを降りて歩き、ヤクホテルへ行くが満室。
キレーホテルのドミを取る。

 ここでチハルちゃんとつよしくんに再会する。

 街を歩くが、空気がうすくて上手く歩けないし、頭も痛い。

 うわーこれってやばい、高山病?

 水をたくさん買って宿に帰る。

 出会った日本人と話すが、うまく喋れない。

かなりバッドに入ってる。

 たくさん食べて、水を飲んで寝る。

 明日はアキさんもこっちに来るはず。

5月11日


 夜中の1時に目が覚める。口の中がカラカラ。

 頭は意外にスッキリしてる。寝てもちゃんと目が覚めるってのは、あ
りがたいと思う。


 また水をたくさん飲んで、深呼吸をする。

 寝てるときの呼吸程度では、空気中の酸素が薄くて足らないそうだ。

やってられんなぁ・・・。

 まぁ、高山病は克服できそう。


 6時半に起きて、3人でチベット仏教の本山、ジョカンに行く。

コルラして、チャイ飲んで帰る。


 五体投地してるチベタンがたくさんいる。

 PM,アキさんが一日遅れでやってくる。またみんな集まった。
 トゥクパを食べに行く。

 夕方、カイラスレストランに行く途中、時計のないことに気づく。

 シャワーを浴びた時に置いたままだ!走って宿に戻る。


 掃除のおばちゃんが笑って、保管しててくれた。奇跡だ、ここはやは
り中国ではなくチベットだ。

 ありがとう。

 夜はみんなでエンジン全開。

宿の近くで買ったレモンケーキ。

 冷たさと甘さと酸っぱさがこの世のものとは思えない絶妙なハーモ
ニーを奏でる。



 5月12日

 またまた早起きして、チベタンに混じってジョカン3周する。朝靄が
清々しい。

 11時、宿をヤクホテルに移す。
4人で部屋をシェアする。シャワーを浴び、洗濯をする。

 みんなそれぞれ思いおもいのことをする。

 寝るやつ、本を読むやつ、笛を吹くやつ。実にいい感じだ。


 上海でもらった本『うつくしい子供』を読み終え、ツヨシくんにあげ
る。
 「正しさの基準を外側にでなく、自分の内側に置いて考えてみる」主人公の少年の言葉。

 夕方、パスタを食べに行く。お世辞にもうまいとは言えな
い。